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骨粗鬆症とは
骨粗鬆症(骨粗しょう症)は、骨量が低下することで骨がスカスカになり、折れやすくなる病気です。
骨粗鬆症は閉経後の女性がかかることの多い病気ですので、高齢化が進むことで必然的に患者が増えるのは当然ですが、最近で若い女性にも急増しています。
ダイエットと運動不足が原因で骨がスカスカになったり、妊娠や授乳で骨がボロボロになって骨折しやすくなるなど、若い女性の骨粗鬆症は、珍しいことではありません。
骨粗鬆症の原因は?
骨は毎日少しずつ作られ、また、少しずつ壊されていくものです。作られる骨の量より壊される骨の量が多くなると骨粗鬆症になります。実際には、さまざまな要因が重なり合って骨粗鬆症が発症すると言われています。
性ホルモン の低下 |
女性では50歳前後の閉経期から、男性では70歳前後から性ホルモンが低下します。 女性ホルモン、男性ホルモンとも骨の形成を促進し、また、骨の減少を抑制する作用があり、これらの性ホルモンの低下が骨粗鬆症の発症に関係しています。 |
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カルシウム 摂取不足 |
日本人は欧米人に比べ牛乳や乳製品の摂取量が少なく、退行期骨粗鬆症の成因として重要です。 |
ビタミンD 不足 |
ビタミンDには腸からのカルシウムの吸収を良くし、また、腎臓から尿としてカルシウムが体外に失われるのを防止する働きがあります。日光照射不足などでビタミンDが不足します。 |
運動不足 | 運動は骨を刺激し骨の形成を刺激します。年とともに運動量が低下すると骨粗鬆症の原因になります。また、骨粗鬆症による骨折のために運動量が低下することで、悪循環に陥ります。 |
遺伝 |
骨粗鬆症は黒人に比べて日本人や白人に多いと言われています。また、同じ家系内で発症しやすいことも知られています。 |
骨粗鬆症の症状は?
骨粗鬆症の主な症状は、腰の痛み・背中の痛み・骨折などです。しかし、レントゲンでみるとひどい骨粗鬆症であっても、患者様ご自身に自覚症状が無い場合があるため、注意が必要です。
骨折部位としては、腰椎、大腿骨頚部、橈骨末端などが挙げられます。骨折を起こした場合、骨癒合は遅れ、長い期間安静固定を要したり、時として寝たきりになったりして日常生活にかなりの支障を来します。
また、全身的な合併症を生じると生命にも悪影響を及ぼしかねません。このような事態に陥ると、家族の方にも大きな負担を強いることとなり、社会的にも深刻な問題となってきます。
骨粗鬆症の検査は?
検査機器(骨密度測定装置)のご紹介
当院では骨密度測定装置をこの度新しくしました。
この新しい装置を用いて骨粗鬆症の検査を行っております。
腰椎正面、大腿骨頚部の骨密度を測定することができます(これらは骨粗鬆症による骨折が生じる部位であり、その当該部位を測定することで、直接的に骨の状態を評価することができます)。
骨粗鬆症の治療は?
食事療法 |
まずは第一にカルシウムを十分に摂取する必要があります。 日本人正常成人のカルシウム必要量は1日に600ミリグラムですが、骨粗鬆症の患者さんでは800~1,000ミリグラム摂取する必要があります。しかし、1990年の国民栄養調査では平均摂取量は537ミリグラムと、カルシウム摂取不足の状態でした。また、高齢者ではさらに少なく、400~500ミリグラムしか摂取されていないのが現状です。 牛乳や乳製品のカルシウムは腸から吸収されやすい食品です。小魚、ヒジキなどもカルシウムの多い食品です。 |
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運動療法 | 運動は骨量を増加させ、骨粗鬆症の予防治療に良いとされています。 しかし、高齢の骨粗鬆症患者さんでは骨折を誘発する可能性があるので、十分な注意が必要です。 |
薬物療法 | 単独もしくは2種類以上の薬物を併用し投与されます。 |
カルシウム 製剤 |
食事からのカルシウム摂取を補足するために投与されます。 |
活性型 ビタミンD |
副作用として高カルシウム血症が起こる可能性があります。 |
カルシト ニン |
骨代謝の調節ホルモンであるカルシトニンは鎮痛作用もあり、骨粗鬆症の治療に用いられています。 現在は注射製剤しかありませんが、点鼻薬も開発中です。 |
女性 ホルモン |
女性ホルモンの低下は閉経後骨粗鬆症の主要な原因と考えられ、このホルモンの補充は骨粗鬆症に有効です。 「女性ホルモン補充療法」で詳しく説明しますが、子宮体がんなどの副作用があり注意が必要です。最近では副作用の少ない、貼り薬、女性ホルモン類似薬も開発されています。 |
ビスフォス フォネート |
骨の破壊を抑制する薬物です。欧米では以前から使用されていましたが、最近わが国でも使用できるようになりました。 |
その他 | ビタミンK、イプリフラボンなどが使用されています。 |
骨粗鬆症の予防
骨粗鬆症は予防が重要な疾患です。
女性では10代後半から20歳頃に骨量が最大になり、以後40歳頃までこれを維持し、その後閉経とともに急速に骨量が低下します。
予防の原則は以下の2点です。
- その1.10代の成長期に骨量をなるべく多くしておく。
- その2.その後の骨量の低下をなるべく少なくする。
いずれのためにも、カルシウムの十分な摂取、運動、適度な日光照射が有効です。
その他、アルコール、ニコチンおよびカフェインはカルシウムの吸収を阻害するなどの作用があり骨量を低下させるので、注意が必要です。